「見え検」の進行は、2名のファシリテーターが行います。主に1名が「見え検マップ」の作成、もう1名が会の進行を担います。全員が参加し、つい発言したくなる、前向きな意見がでる、解決策が見えて事例が動く。どのように行うのかご紹介いたします。
インタビュー形式で情報を聞き出し、マインドマップを援用した「見え検マップ」に記載していきます。医学的な情報に加え、対象者がどのような人物なのか、どのような生活をしているか、経済状況・地域や家族の状況・ADLや介護度について、ファシリテーターが大雑把に聞いて得られた情報をマップに書き込んでいきます。
①で出た情報をもとに、参加者から質問を集め、新しい情報をマップにどんどん追加していきます。それぞれ異なる職種・経験の参加者たちから、さまざまな視点の質問が出ることで、見えていなかった課題や状況が見えるようになってきます。
情報が出そろったところで、なにが課題なのか参加者の皆さんで分析していきます。「見え検マップ」の力で、多領域の情報・状況や課題の関係がみえてきます。ひとつの課題をクリアすることで、別の課題がクリアできることもあります。ここでもさまざまな視点から課題を発見できたり、気づかなかったつながりが見えたりと、「多職種」の力が活きてきます。
事例提供者も含め、参加者全員の視線は「見え検マップ」に集中します。それぞれが自分にできることを考えて発言していくので、お互いを尊重する空気が生まれ、全員が前のめりに参加し、前向きな意見を言い合える場になります。
最後に、かきこまれた情報や課題・解決策をもとに、それらの関連性を読み解き議論の内容をまとめます。
本人と関わる家族や支援者・事業者の関係を改めて整理し、誰が何をするか、優先順位をつけていく「見え検式エコマップ」を使い、実際にできるアクションプランを考えていきます。
「誰が」「何をする」というところまで考えるので、事例提供者は実際に行動でき、事例が動きます。「見え検」に参加した人が新たな仲間として支援に関われることもあります。
「見える事例検討会」では、認知症・緩和ケア・精神疾患の3つの事例検討のテンプレートがあり、それに沿って進行していくと、所要時間はおよそ70~90分程度です。また、長い時間を確保するのが難しい「退院カンファレンス」の場合は15~20分で終了できるテンプレートを用意しています。