地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるための、地域の包括的な支援・サービス提供体制のことです。
厚生労働省は、「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます」としています。
今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。高齢化の進展状況には大きな地域差が生じているため、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じてシステムを作り上げていくことが必要です。
地域包括ケアシステムを構築するためには、「地域ケア会議」の開催が必要です。
地域ケア会議には、次の5つの機能があります。
この機能はまさに「見え検」のコンセプトとまったく同じです。
「見え検」の手法で個別事例の検討をしていくと、「こういうことってよくあるよね」「私も同じような事例をかかえています」など、地域で実際に活動している支援者たちから声があがることがあります。これを、「見え検式地域診断マップ」にあてはめて、本当にそれが地域で共通する課題なのか、どのような要素から発生している課題なのかを分析していきます。この作業を「地域課題の描出」と呼んでいます。
ここで選定した地域課題に関係しそうな参加者を選定し、「見え検式地域診断」を行います。
参加者は、関係しそうな専門職、団体、地域住民、出た意見を行政や各団体の取り組みにつなげてくれる人がいるといいでしょう。また他の地域からも参加してもらうことで、地域内の人たちでは気づかない課題や強みが見えることがあります。
「見え検式地域診断」では、中心を「地域のコア」とし、そのほかに地域を構成する要素を8つの領域に分けて、個別事例で上がった課題にまつわる地域の情報やエピソードを聞き取っていきます。
参加者全員がマップを見て視覚的に全体像をとらえることができ、実行可能な対策が出てきます。また専門職だけでなく、地域住民にも参加してもらうことで、いろいろな情報を提供してもらうことができます。専門職でなくても課題の関連性や構造が見えることによって、「なんだかわからないけど行政にこうしてほしいな」「交通の便が悪いから困るんだ」というような他責的な意見やすぐに変えられない問題点ではなく、「これだったら自分にもできる」というような前向きな意見が出てきます。
通常は地域診断というとかなり大掛かりで、地域の方たちも一緒に行うとなると困難なことが多いですが、「見え検式地域診断」の手法を用いることで、地域の方々が参画しやすく、“共に考え、共に取り組んでいく”参加型の地域包括ケアが構築でき、今後の地域づくりの発展につながっていきます。
なお、具体的な「見え検式地域診断」の進行方法については、ご要望を頂いた地域に出向いて、地域包括ケアについての講座や研修を行っています。くわしくは、「見え検」を開催したい方へ のページをご覧ください。